身体を整える「食養生」後編 〜実践5箇条〜

栄養 2023/01/27 1076 views

「病気ではないけれど、なんとなく調子が良くない」という「未病」の症状を緩和するために、食養生をいざ実践!前編の基礎知識をふまえ、後編では健康の指標となる「気血津液(きけつしんえき)」のバランスを整えるための具体的なやり方を紹介します。

前編の記事はコチラ:https://www.islandweb.okinawa/syokuyouzyou1/

食養生実践のための5箇条

ふだんの生活に食養生を取り入れるために、覚えておきたい5箇条があります。簡単にできそうなものから実践するのもOK。日頃から意識するようにしましょう。

1.基本の和食を食べる
和食の基本「一汁三菜」を意識しましょう。1食あたり、主食のお米や玄米に、汁物、旬の魚1品と旬の野菜2品の割合で食べるようにするとバランスのいい食事ができます。このとき、安心で安全に栽培をされたもので、素材そのものにエネルギーがあるものを選び、鮮度の良いものを食べるようにするといいです。また、「体と土とは一つである」という考えに基づき、歩ける範囲の身近なところで育ったものを食べ、生活するのがよいとする「身土不二(しんどふじ)」も大切。輸入食品よりも地元のものや国産を選びましょう。そしてよく噛むことも意識したいポイント。ながら食べは脳にも消化機能にも影響するため、食事の時はテレビやスマホを見るのをやめ、五感で味わうことがとても大切です。

2.天然のものを選ぶ
コンビニやファストフード店が増え、現代では料理をしなくても食べられるものがすぐに手に入るようになりました。でも、便利な反面、栄養的には心配があると食養生コーディネーターの住吉さんはいいます。「人間の身体は弱アルカリ性に保たれていますが、お菓子やジュースなど精製された砂糖の多いものや、コンビニ食やファストフードなど添加物の多いものを食べると酸性に傾きやすくなってしまいます。酸性に傾いた体をアルカリ性に戻すとき、たくさんのミネラルが消費されてしまうので食べれば食べるほど実は栄養不足に陥ってしまうんです」。面倒な料理を避けたい、でも栄養はとりたいという場合は、ご飯と味噌汁だけ手作りするのもおすすめ。塩は精製されたものではなく天然のものを使い、ミネラルを補給しましょう。

3.食べすぎない
身体の不調の原因のひとつは「食べすぎ」だという住吉さん。たとえ「身体にいい食材」だとしても食べ過ぎはNGです。健康になるには「栄養のあるものをたくさん食べる」というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、実は「余計なものを入れない」ことが特に大切。「足し算」ではなく「引き算」を意識しましょう。

4.生活習慣を整える
朝、昼、晩の決まった時間に食事をし、同じ時間に寝るようにすることで体内時計を整えることも大切。体内時計がずれた状態が続くと、睡眠の質が下がったり、倦怠感や食欲不振といった不調が出てきます。また、食事と食事の間に時間を空けて「空腹時間」を設けると、胃腸を休めることもできます。

5.旬のものをいただく
「旬の食材」を選ぶのも食養生の大事なポイント。その食材がいちばん美味しく食べられるだけでなく、実は栄養価も高いというメリットがあります。また、トマトやナスなどの夏野菜は身体を冷やす性質があり、ネギや大根、生姜などの冬の食材は身体を温めてくれるので、例えば夏バテなど、季節特有の症状を和らげてくれます。

不調の症状別の対処法

ここでは、比較的に悩まされる人が多い症状について、どんな食材を取り入れるべきか紹介します。

頭痛があるとき
頭痛はよくある症状な上に、その原因はさまざま。冷えや肩こり、眼痛疲労、寝不足、女性の場合は生理など、ひとつの原因に絞るのは難しいかもしれません。ただ、そうしたものだけでなく、実は「精製されたもの」や「甘いもの」のとりすぎが原因の可能性もあります。食養生の5箇条にもありますが、「余計なものを控える」ことをまずは意識してみてください。また、食養生では食材をそのまま食べるのではなく、生姜の搾り汁を頭にすり込む、大根おろしをガーゼで巻いて額にあてるといった方法もあり、おすすめです。

眠れないとき
コーヒーのカフェインなど刺激性の高いものは睡眠の質を下げるので控えましょう。また、気をつけたいのが寝る前の3〜4時間は固形物をなるべく食べないこと。「食べたあとにすぐ寝てしまうと、消化吸収にエネルギーを使うので、しっかり休めないんです。寝ている間に体は色々なものを修復してくれるので、そこにエネルギーが使えるようにしておくと良いですね」と住吉さん。また、心が健康でないことも不眠の原因につながるので、ストレスを溜めないようにすることも重要です。

疲れが取れないとき
体が疲れているときは、胃腸など内臓が疲れていることも多いので、生肉や生野菜、生魚など、消化に時間がかかり身体の負担となるものを減らしましょう。また、エネルギー不足を起こしていることもあるので糖分の補給も必要ですが、その場合は天然のものである黒糖やはちみつを選ぶのがおすすめです。

「病気を治す」のではなく、「免疫力を高めて病気にならない身体をつくる」ための食養生。5箇条を意識するだけでも食生活に変化が生まれるので、少しずつ試してみてください。また、「心の浄化は身体の浄化です」と住吉さん。食べるものに気をつけることと合わせて、ストレスをためずに、心の状態も整えておきましょう。

住吉実那さん
R.KANASA 株式会社代表。食育アドバイザー、日本食事療法士協会・食養生コーディネーターの資格を持つ。自身と息子が重度のアレルギー体質を持ち、病院の治療だけでは治らなかったことを体験し、食の改善と体質改善を始める。食養生に関する講座の開催や、日常生活に取り入れやすい食養生の情報をSNSで発信している。
〈Instagram〉biyoshoku_mina

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