身体を整える「食養生」前編 〜まずは基礎を知ろう!〜

栄養 2023/01/17 1628 views

その人の体調や体質にあった食生活をすることで健康を保つ食養生(しょくようじょう)について、食養生コーディネーターの住吉実那さんに聞きました。前編は、食養生を実践するために知っておきたい基礎について、後編は食養生の実践方法を解説します。

食養生って何?

「食養生」とは、健康維持のために何をどのように食するのがいいのかという多くの先人たちから受け継がれている英知のこと。日本最古の医学書「医心方」にはさまざまな医説や食養法が多数紹介されています。食養生が他の食事療法や健康法と違う点は、健康を維持するために大切なのが食べ物だけではないという点だと住吉さんは話します。

日頃の生活習慣も重要で、せっかく食事に気を付けても、ストレスや過労、不眠などで健康が損なわれることもあります。食養生の根本には食べ物を含め5つの大切な要素があると住吉さんは言います。「食養生を構成するのは『心、太陽、空気、水、食物』で、この並びの順に健康への影響力が強いとされています。まずは『心』が重要。例え食べ物に気を使っていても、イライラしているときは健康とはいえないので、まずはストレスを解消して『心』を整えることから意識するといいですね」。

健康の指標となる「気血津液(きけつしんえき)」

食養生のベースの考え方である漢方では、健康かどうかの指標となるのが「気血津液(きけつしんえき)」といわれています。これは人の体を構成する基本的な物質を表していますが、それぞれの役割は以下のようになります。

「気」
目に見えない活力や、人間が持つ器官や組織の代謝のことです。不足したり乱れたりすると、体力や抵抗力が落ちて、疲労や頭痛などの不調が起こります。

「血」
細胞に酸素や栄養分を届ける役割を持つ血液を指します。乱れると、貧血や冷え、生理痛などの不調が起こります。

「津液」
人間の身体に巡っている血液以外のすべての水、つまり汗やリンパ液などの体液を指します。流れが滞るとむくみに繋がり、肌のハリや髪のツヤが失われてしまいます。

また、気血津液の働きは連動していて共に影響し合います。「血」と「津液」は栄養を巡らせてくれ、身体を潤してくれる大切な要素。単体では動けませんが、「気」が動力となり、体内を巡るといわれています。この気血津液のバランスが取れた状態を維持できている状態が「健康」といえます。こうした健康の要となる「気血津液」のバランスをとるための方法が食養生です。

食養生で病気になる前に軌道修正

食養生の基本的な考え方のひとつに、病気になったものを治すのではなく、病気をしない身体をつくるというものがあります。なんとなく不調を感じる「未病」の状態はのちに生活習慣病などに繋がるといわれているので、早めに気づいて対処することが必要です。後編では、実際の食養生の方法を解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

後編の記事はコチラ:https://www.islandweb.okinawa/syokuyouzyou2/

住吉実那さん
R.KANASA 株式会社代表。食育アドバイザー、日本食事療法士協会・食養生コーディネーターの資格を持つ。自身と息子が重度のアレルギー体質を持ち、病院の治療だけでは治らなかったことを体験し、食の改善と体質改善を始める。食養生に関する講座の開催や、日常生活に取り入れやすい食養生の情報をSNSで発信している。
〈Instagram〉biyoshoku_mina

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