生理前の不調、PMSとは?〜産婦人科専門医に聞いてみました〜

生理前、なんだかイライラしたり、ちょっとしたことで泣きたくなったり、身体がだるくなるという方はいませんか?もしかしたら、生理前の不調である「PMS(ピーエムエス)」かもしれません。多くの女性が経験しているものですが、その知名度は低め。今回、まだまだ分からないことも多いPMSについて、産婦人科専門医の髙宮城先生にお話を伺いました。

髙宮城 直子(たかみやぎ なおこ)先生
Naoko女性クリニック院長。婦人科・漢方内科として、月経異常、更年期障害、不妊相談などを中心に診療を行い、思春期〜老年期のさまざまな世代の女性の悩みに寄り添い、一人ひとりに合った治療やアドバイスをする。

PMSとは何ですか?

PMSは、月経前症候群とも呼ばれる、生理前の3~10日間続く不調のことで、生理が始まると症状が軽くなります。なぜ起こるのかという原因は、はっきりと解明されているわけではないのですが、排卵後に「黄体ホルモン」の分泌量が増えるからだと考えられています。ホルモンの分泌量の変動によって、身体がむくんだり、体重が増えたり、胸が張る、頭痛や腰痛がひどくなるなどの身体的な不調のほか、イライラするといった心の症状も含め、色んな不調が出るんです。黄体ホルモンは生理前に一気に下がるので、その時がつらいという人たちもいます。

いろんな症状があるんですね。

そうですね。他にも、食欲不振や過食、倦怠感、だるさや眠さ、情緒不安定、睡眠障害、腹痛やお腹の張り、関節痛、めまい、怒りっぽくなる、落ち込みやすくなる、集中力が落ちるといった症状もあり、人によって違うんです。最近は、当クリニックでもPMSの相談で来る患者さんが増えてきていて、1日に数名はいます。中でも、気分の落ち込みやイライラするという方が多いですね。また、下痢といった胃腸の症状が出る方もいます。年代別の傾向としては、20代はお腹が痛くて相談に来る方が多く、30代の子育て世代はイライラに悩まれる方、40代後半の閉経前の方は、PMSと更年期障害が重なるケースもよくあります。

自分のPMSのパターンを知るために、毎日感じた不調を手帳に記録するのがおすすめですよ。今日はとてもイライラする、今日は腹痛があると書いていけば、生理が始まるまでのどの位のタイミングに不調が集中しているのか、どんな不調が起こりやすいのかを知ることができるので、対処しやすくなります。

PMSが重くなる原因はあるのでしょうか?

PMSは、ホルモン、体質、ストレスの3つの要因が絡まりあっていると言われています。生理前にホルモンバランスに変化が起きると、もともと体質的にむくみやすい人はむくみがひどくなったり、学校や職場でストレスを抱えていて、落ち込みやすい性格の人はより落ち込んでしまうなど、その症状が強く出てしまいます。

対処法を教えていただけますか?

適度な運動やお風呂に入ることで血の巡りを良くするといいですね。沖縄の方はシャワーで済ますことも多いですが、お風呂に入る時は湯船に浸かることをオススメします。そうすると、疲れの回復具合が全然違うんです。後は好きなアロマの香りを楽しんだり、鍼灸を受けたり、マッサージをしてもらえるお店へ行くのもいいです。とにかく自分を「おつかれさまー」と癒やしてあげるといいですね。日頃からストレスを溜めないようにして、栄養バランスのとれた食事、質のいい睡眠、適度な運動をすることが大切です。また、一人で抱えこまずに、家族に「この時期は体調があまり良くないから手伝ってね」と話してみるのもいいと思います。家庭や職場など、助けてもらえる部分はみんなに助けてもらって、自分の体調と向き合ってみてください。

病院に行ったほうがいい目安はあるのでしょうか?

症状がひどく、自分がつらいと感じるのなら一度診てもらうといいと思います。病院ではいくつかの処置があります。例えば処方されるピルを飲んで、ホルモンを一定にすると症状が改善する方もいます。ピルは「飲むと気分が悪くなる」など怖いイメージを持つ方が多いようで、日本では、3〜5%程度の人しかピルを服用されていません。ですが、実際は怖いものではありません。生理の出血量も3分の1になってナプキンも小さくて済むようになりますし、身体的にも楽になるのでもっと広めたいですね。

その他に、漢方薬を服用して体内の水分量のバランスをとる方法や、気持ちを落ち着かせる方法、また、子宮内に「ミレーナ」という器具を入れることで黄体ホルモンが少しずつ子宮内膜に作用して強い月経痛や多い出血量を抑制すると共にPMSが和らぐ方もいます。また、PMSの中でも、心の症状が重く出る方もいます。鬱のように日常生活に支障が出るほどひどい場合はPMDD(月経前不快気分障害)の可能性も考えられるため、症状によっては心療内科を紹介することもあります。

セルフケアをいろいろ試してみても症状が緩和されない方は、病院に行ったほうが早道なので、我慢しないでどんどん相談に来てください。また、PMSの相談をする時は、漢方の処方や女性医療を施しているところを選ぶのがおすすめです。

パートナーや家族は、どんなサポートができますか?

自分のパートナーや家族がいつもよりイライラしていたり、体調が悪そうにしていたりする時があると思います。これらの不調が1ヶ月に3〜10日程度見られるようなら、PMSかもしれません。まずは、PMSがどんなものかを理解して、気遣ってあげることが大切です。例えば、パートナーや家族がつらそうなら「早く休んでね」とその日の家事は引き受けるといいと思います。

生理痛に関してもそうですが、PMSの相談をすると職場で不利になる、恥ずかしいという理由から周りに言えないという方もいます。また、症状には個人差があるので女の人同士でも理解できないこともあります。普段からコミュニケーションを取って、お互いに自分のことを話しやすい雰囲気を作っておき、思いやりの気持ちを持つといいですね。

自己肯定感インタビュー vol.04 猪瀬 康介 さん

kenko ISLAND60号、特集「自己肯定感の育て方」に関連した全4回のインタビューシリーズの最終回は、FC琉球のゴールキーパー、猪瀬康介 さんです。物怖じしない強い眼差し、質問に対して簡潔に答える姿勢、20歳とは思えない落ち着いた物腰の猪瀬さんに自己肯定感についてお話をうかがいました。

profile・猪瀬康介(いのせ こうすけ)
茨城県出身。2000年12月25日生まれ。高校サッカーの強豪校である流通経済大学附属柏高校に進学。卒業後、2019年よりFC琉球にゴールキーパーとして所属。休日は趣味のカフェ巡りを楽しむ。

Twitter >>> @ryukyu031  
Instagram>>> @kosuke.ryukyu_official 

高校時代に直面した厳しい現実

−高校生という多感な時期に自分の力不足に直面したという記事を拝見しました。当時のことについてお話しいただけますか?

子どもの頃からサッカーをやってきて、プロのサッカー選手になることしか考えずにきたんですね。だからそういう基準で高校も選んだし、高校サッカーで結果を出して、プロに行くって思っていました。でも、当然試合に出られるだろうと思っていた高校3年の時に、入学したばかりの後輩がレギュラーになるというのが決まって、監督から自分に試合に出ていいという声かけが全然なくて、最初はやっぱりかなり落ち込みました。後輩ばっかり認められて、自分の力不足を責める気持ちと、悔しさと。自分の方がいいだろうって思う気持ちもある一方で、でも後輩の方がシュートを止めているなって認めざるを得ない気持ちと。半々だったと思います。それと、少しふてくされていたところもあったと思います。

−ショックだったと思いますが、その状況をどうやって受け入れたのでしょうか?

正直なところ、一時はサッカーから離れたいと思いました。実際に高校を卒業したらサッカーをやめて仕事に就こうと、履歴書を書いて送ることもしました。これまでずっと、高校を卒業した時点でプロにいけなかったらサッカーをやめるつもりでいましたから。でも、やっぱりサッカーでごはんを食べていきたいって思う気持ちが本当に強かったんですね。だから監督に、もう一度サッカーに打ち込みますって伝えました。

もともと切り替えは早いんです。悩み始めはピッチにいてもどこでも考えていますが、ある一定のところまでとことん考えたら「もうそんなに考えても仕方がない」って切り替わります。自分が選ばれなかったあの時も、落ち込みはしたけど「後輩がメインのこの状況で、急に自分がサブから先発に変わることはまずないだろう」って、ある時から冷静に考えることができるようになりました。それからは、サッカーができることに感謝しようって気持ちに切り替えられましたね。

−気持ちが切り替わった後のサッカーに対する姿勢には変化はありましたか?

すごく変わりました。練習に対する熱量や、本気でプロになってやるんだっていう気持ちがものすごく強くなって、試合に出ているか出ていないかっていうのは関係ないと思えるようになりましたし。その切り替えのおかげで、最終的に試合に出ることは叶わなかったけれど、実際に夢だったプロのサッカー選手になることは叶ったわけですから。 こうやって切り替えが早かったり、割り切ることができるようになったのは、今考えると両親がいつでも「やりたいことはやりなさい。やりたくないことは無理に続ける必要はない」という姿勢で育ててくれたからなのかもと思います。もともと家族がすごく仲が良くて、今でも悩みがあったら兄と姉に相談することも多いし、基本的にポジティブな考え方ができるのも両親の育て方のおかげかなと思います。

人の言葉に惑わされず、今を大切にする姿勢で

−プロサッカー選手として活躍するようになって、気分のコントロールなどで工夫されていることはありますか?

試合に臨む前にルーティンとして必ずやることが、お風呂に入ることです。何も考えずに身体をリラックスさせて温めて。そこでスイッチを入れる感じです。お風呂に浸かっている間にどんどん気分を高めていって、その後にストレッチをします。汗をかくと筋肉もほぐれて柔軟性も高まるので、精神的なことだけでなく身体にもいいことがあるんですね。

オフの時はカフェに行きます。カフェ巡りが好きなので、いろんなカフェに行ったり、車やファッションも好きなので、そういうものをネットで見たりします。もともと気分の切り替えは早いので、悩みを引きずったりすることはないんですが、自分が好きなことを楽しむ時間が持てるのはいいですね。

−試合などで人前に立つことが多いですが、周りからの意見に影響を受けたり、別の選手と比較するようなこともありますか?

試合をしていると観客からいろんな声が飛んできます。ゴールキーパーなのでサポーターからの声援も、それ以外の声も一番伝わる場所にいるんですね。嬉しい言葉ももちろんあるけど、嫌な声もある。嫌な声に対して思わず反応してしまいそうになったこともありますが、すぐに試合に集中するように自分自身を戻しました。

基本的には人の目はそこまで気にしません。ファッションに関しては人前に出る時は髪型を100%ビシッとしたいと思ってやっていますが、それは人目を気にするというよりは、自分自身のルールという感じで、これをやると気持ちが入るからなんですね。

僕自身もSNSをやっているので、サッカー関係の選手のものは見ますね。例えば、トップ選手のSNSを見たら、フォロワー数の多さや乗っている車とかを見て「うゎ!すごい!」って思うけど、羨ましいとかカッコいいなと思う気持ちと同じくらい、自分もこうなってやろうって思うので、自分がダメだと考えるような比較の仕方はしないですね。あとは同年代の選手が頑張っている様子などを見たら、自分はまだまだだからもっと頑張ろうって、自分を鼓舞するための対象として見ることが多いと思います。

過去を引きずったり、未来を心配しすぎるんじゃなくて、その時々で自分が今、何をすることが大切なのかを考えて、これからもレベルアップしていきたいです。

▷自己肯定感インタビュー第1回のHY 仲宗根 泉さんのインタビューはこちら
▷自己肯定感インタビュー第2回のくだか まりさんのインタビューはこちら
▷自己肯定感インタビュー第3回の平安座 レナさんのインタビューはこちら

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