糖質ゼロ、糖類ゼロ、カロリーゼロの食品ってどうなの?

スーパーで見かける「糖質ゼロ」や「糖類ゼロ」、「カロリーゼロ」と表示された食品。ダイエットなどの観点から、そのような食品を手に取る人もいるかもしれません。それぞれの違いや、本当にゼロになるのかといった疑問、効果的な食品の選び方を管理栄養士の山里さんに教えてもらいました。

そもそも糖質、糖類、カロリーって何?

パンやごはん、麺などに含まれる炭水化物の一部である「糖質」は、人が生命維持をしたり身体を動かしたりするエネルギー源です。糖質はいくつかに分類することができ、ブドウ糖やグルコース、ショ糖などの「糖類」のほか、キシリトールなどの「糖アルコール」、オリゴ糖などの「多糖類」、スクラロースなどの「合成甘味料」などがあります。体内に入った糖質の多くは、糖類であるブドウ糖に分解されることでエネルギー源になります。

ここでもうひとつ、糖質のはたらきを理解するうえで知っておきたいのが、「カロリー」という言葉。カロリーは本来、熱量(エネルギー)を表す単位「キロカロリー(kcal)」のことですが、「エネルギー」と同様の意味でも使われます。

「人が生きるために必要不可欠なエネルギー(カロリー)は、糖質を含む『炭水化物』のほか、『たんぱく質』、『脂質』の3大栄養素から作ることができます。穀物やイモ類などに含まれる『炭水化物』と、肉や魚などに含まれる『たんぱく質』は1gあたり4kcalのエネルギーを作り出し、植物油などの『脂質』は1gで9kcalのエネルギーを作ることができます」。

では、糖質やエネルギーは1日にどのくらい摂るといいのでしょうか。「糖質やエネルギーの1日の必要量は、『日本人の食事摂取基準2020』を参考にするといいと思います。P84に性別、年齢、身体活動レベルごとの1日の推定エネルギー必要量が一覧になっているので、まずは自分がどのくらいエネルギーが必要かを知りましょう」と山里さん。例えば、30〜49歳の活動レベルⅡ(Ⅰは寝たきりなどほとんど自宅で過ごす人、Ⅲはスポーツの部活をしている人やアスリートなど、日常的に激しい運動をしている人という分類です。多くの人は活動レベルⅡに当てはまります)の男性の推定エネルギー必要量は2,700kcalだと分かります。

山里さんによると、1日のエネルギー必要量のうち、何%をぞれぞれの3大栄養素から摂取したほうがいいのか基準があるのだといいます。中でも糖質を含む炭水化物は推定エネルギー必要量の50%〜65%で摂取することが望ましいです。炭水化物はエネルギー源になる「糖質」と、ほとんどエネルギーにならない「食物繊維」に分けられるので、炭水化物から得るエネルギー必要量と、糖質から得るエネルギー必要量は同様です。計算例は下記のとおりです。

【30〜49歳の活動レベルⅡの男性の場合】
推定エネルギー必要量2,700kcalのうち、1,350kcal(50%)分は炭水化物から摂取することが望ましい。

1,350kcal(1日に必要な炭水化物のエネルギー量)÷4kcal(炭水化物1gあたりが作り出すエネルギー量)=330g(1日に摂ると丁度いい炭水化物の量)

30〜49歳の活動レベルⅡの男性は、330gの炭水化物が必要だと分かりました。普段の食事で必要なエネルギー量や炭水化物(糖質)の量が大幅に超えていないかチェックしてみましょう。

※身近な食品にどのくらいの栄養素が含まれているかは、文部科学省の「食品成分データベース」を参考にしてみましょう。
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

糖質ゼロ、糖類ゼロ、カロリーゼロとは?

健康維持のために「糖質ゼロ」や「糖類ゼロ」、「カロリーゼロ」と表示された食べ物や飲み物を選ぶ方もいますが、そのような食品には、糖質などが本当に含まれていないのでしょうか。実は消費者庁の食品表示基準では、100gまたは100mlあたりに含まれる糖質や糖類が0.5g未満の場合は「ゼロ」と表記することができます。また、「カロリーゼロ」と表示された食品も全くカロリーが含まれていないのではなく、100gまたは100mlあたりに含まれるエネルギー(カロリー)が5kcal未満なら「カロリーゼロ」という表記をしてもいいのです。

気を付けたいのが「糖類ゼロ」の食品を選ぶときです。「糖類ゼロ」は砂糖を使っていないだけで、中にはデンプンなどの他の糖質が多く含まれていることもあります。「ゼロ」と表記された食品だからと多めに食べてしまい、1日の炭水化物の適正量をオーバーしていたということにならないように気をつけましょう。

もうひとつ知っておきたいのは、「カロリーゼロ飲料」などは、エネルギー(カロリー)を下げるために、キシリトールやスクラロースなどの食品添加物を使っているものも多くあるということ。日本で購入できる食品添加物は基準値以内に収められていますが、キシリトールなどの「糖アルコール」は小腸で吸収されにくく、多く摂取することでお腹が緩くなることもあるので、食べ過ぎはNG。また、ダイエット飲料やチューインガムなどに使われる食品添加物「アスパルテーム」は発がん性の可能性があることをWHOも発表しているので、やはり摂りすぎは避けたほうがいいです。

「〇〇ゼロ食品」と上手に付き合おう

「普段食べている食品を『糖質』や『糖類』、『カロリー』がゼロと表示された食品に置き換えて、糖質やエネルギーをコントロールしてもいいのですが、完全にゼロではないことを知っておきましょう。油断して多めに食べてしまうと、血液中のブドウ糖の濃度が異常に高くなってしまう『高血糖』の状態になり、中性脂肪に変化して脂肪組織に蓄えられることで肥満の原因になる可能性もあります。生活習慣を予防して健康的な生活を送るためには、栄養バランスが大切。『○○ゼロ』の表示を過信せず、栄養素の成分表示をしっかり確認して、普段の食事と合わせてどのくらいのエネルギーや糖質を摂っているかを把握できるといいですね」

山里瑠美さん
在宅訪問管理栄養士。日本栄養士会認定栄養ケア・ステーション「いのり」の責任者で、在宅での療養や介護が必要な人やその家族へ栄養に関するアドバイスを行う。沖縄調理師専門学校講師も務める。

アンガーマネジメントを実践して毎日を快適に過ごす!

仕事や育児、友人とのコミュニケーションでイライラしてつい当たってしまったり、反対にどう怒ったらいいのか分からずモヤモヤしてしまった経験はありませんか。そんな方は、「アンガーマネジメント」を身につけるといいかもしれません。アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングのこと。実践して、円滑な人間関係を実現できるように目指しましょう。

怒りが生まれるメカニズム

日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーターの山本京子さんによると、怒りの発生はライターで想像すると分かりやすいのだといいます。ライターで炎を発生させるとき、ガスと着火スイッチが必要です。炎を「怒り」としたとき、ガスが表すのは「日頃のストレス」。日頃抱えているマイナスな感情のほか、寝不足や空腹など、その時の体調の悪さも該当します。着火スイッチが指すのは、「〜するべき」という、その人が持つこだわりのこと。この「〜べき」が裏切られたときに着火スイッチが押されて怒り(炎)が発生します。例えば、「時間は守るべき」という価値観を持っている人がいた場合、時間を1分でも遅れる人がいると着火スイッチが押されて怒りが発生します。その怒りの大きさは、日頃抱えているストレス(ガス)が大きければ大きいほど大きくなります。

「いつもはイラっとしないことでイラっとしたら赤信号。ストレスが溜まっているということなんですね。例えば、子どもが家を散らかしたときに、平常心なら『小さい子だから仕方ないよね』で済んでいたのが、寝不足などストレスを抱えている状態だったりすると怒りが発生しやすいんです。怒りを発生させないために、あるいは小さい怒りで済むようにするために、まずは自分のストレスに気づいてこまめに発散していくことが大切です」

アンガーマネジメント協会では、ストレス発散で4つの方法をオススメしているとのこと。ぜひ実践してみてください。

方法1 泣く
涙はストレスホルモンを体の外に排出するので、感動する映画を見たり、泣ける小説を読んで涙活をするのがおすすめです。

方法2 笑う
笑っているときは嫌なことも忘れられます。お笑い番組などを見て思いっきり笑ってみましょう。

方法3 話す
愚痴でも全然関係ない雑談でもOK。人と話すこともストレス発散になります。

方法4 歌う
一人カラオケに行ったり、車を運転しながら歌ってみましょう。他人を気にせず自由に歌える空間で熱唱すると気分もスッキリするはず。

まずはストレスから離れることが大切。こうした行動をとることで一時的にストレスから離れることはできますが、根本的なストレスの解消にはなりません。それで良いのでしょうか。

「アンガーマネジメントの受講者の中で、『仕事でうまくいかないっていうストレスがあったとして、涙活をしたり、愚痴を言って発散したとしても元々のストレスはなくならないじゃないですか』とおっしゃる方がいたんですね。そのとき、私がお話したのは、『心がパンパンな状態で解決策を考えるよりも、スッキリした状態で解決策を考えるほうがいい』ということ。狭い職場の中で上司を前に『この人にどう話そう』と考えるよりも、一回休んでお笑い番組を見たりストレスを忘れる状態でスッキリしてから『上司にどう話そうか』と考えたほうがいいです。ストレスの溜まった状態で解決策を考えると、『ここ以外に居場所はない』と自分を追い詰めてしまったり、怒りが爆発して感情任せに言わなくてもいいことを言ってしまいます。まずは、ストレス発散が大事。ライターでいうガス(日常のストレス)の部分を減らすこと。これはアンガーマネジメントの中で重要な部分なんです」

怒りをコントロールするテクニック

怒りが発生しないようにするために、あるいは最小限で済むようにするための対策を4つご紹介します。

テクニック1 「〜するべき」の許容範囲を広げる
「べき」というのはその人にとっては普通のことで、その人のこだわりです。こだわりと聞くと自己中心的な考えに聞こえてしまいますが、決して我儘ではなく、小さいときから親に言われてきたこと、社会人になって言われたことの蓄積。本人にとっては100%正しいことですが、隣の人にとっては100%ではないので、自分のこだわりで相手をジャッジすると相手は窮屈に感じてしまいます。

スムーズなコミュニケーションをとるためには、自分の持つ「べき」をもう少しだけ広げてみることが大切。「例えば、あなたが『始業の20分前には会社に来ておくべきだ』という考えを持っていたとします。アンガーマネジメントでは、他人と自分の『べき』は違うことを理解して、『まあ許せる』範囲まで広げたボーダーラインを設定することをオススメしています。そうすると、『9時に始業なら8時55分までならまあ許せるけど、9時ぴったりに出社する人は許せない』というように、自分なりの許容範囲を設定できるはず。それなら、8時55分以降に出社した人には怒ってもいいのです。ただ、感情のままに怒るのではなく、どう伝えたらいいのかは冷静に考えましょう。すると、『あなたの準備が終わるまで他の人が仕事をスタートできないから、5分前には来てほしい』など、自分の要望を伝えることができます」と山本さん。

実は、アンガーマネジメントとは、決して怒らないことではなく、「怒るべきこと」と「怒らないこと」を自分で決めること。自分が持っている「べき」に気づいて、その範囲を広げてみるとコミュニケーションもより円滑にとれるはずです。また、もうひとつ知っておくといいのは、「べき」は場所や時代によって変わるということ。例えば、エスカレーターの立つ場所が東京と大阪で違うという例があります。そのことを知っているだけでも、怒りはコントロールしやすくなるはずです。

テクニック2 6秒待つ
腹が立ったとき、心拍数や血圧を上昇させる「アドレナリン」というホルモンが発生します。このホルモンの分泌のピークは6秒なので、怒りを感じたら心の中で6秒数えて心を落ち着けましょう。好きなアーティストの歌詞の一部を心の中で歌ったり、「今日はこのお店のお気に入りのデザートを食べよう」といった他のことを考えてもOK。ムカッとしたらすぐに言葉を発さずに、「これを考える」というルールを自分の中で決めておくのをオススメします。

テクニック3 怒りの感情に点数をつける
怒りを感じたときに、自分の怒りの度合いを点数化して客観的に観察するテクニックもあります。MAXの怒りが10点としたときに、「ちょっとイラッとしたから2点だな」「なぜ私の言っていることが伝わらないんだろう。6点くらいまで上がってきた」と客観視することで、自分でも知らないうちに怒りが爆発してしまい、感情のままにものを言ってしまうということを防ぐことができます。

テクニック4 その場から離れる
ムカッとしたときに、「タイムアウト」という、一時的にその場から離れる対処法もあります。例えば会議中なら、「少しお手洗いに行ってきていいですか」と席を外しましょう。家の中なら少しベランダに出てみる、高速道路を運転中に目の前の車が急ブレーキを踏んでイライラしたら下道に降りて、その車が視界に入らないようにしましょう。

あなたの怒りタイプを診断しよう

怒りタイプは6つのタイプに分類されます。それぞれのタイプがどんなときに怒りが湧きやすいのか、また、タイプ別の怒りの対処法を解説します。12問の質問に点数で答えて、最後の計算式に当てはめてみてください。

【点数】
まったくそう思わない・・・1点
そう思わない・・・2点
どちらかと言うとそう思わない・・・3点
どちらかと言うとそう思う・・・4点
そう思う・・・5点
すごくそう思う・・6点

Q1. 世の中には尊重すべき規律があり、人はそれに従うべきだ
Q2. ものごとは納得いくまでつきつめたいと思う
Q3. 私は自分に自信がある
Q4. 人の気持ちを間違って理解していたということがよくある
Q5. 簡単には解決できない強いコンプレックスがある
Q6. リーダー的な役割が自分の性に合っていると思う
Q7. たとえ小さな不正でも見逃されるべきではないと思う
Q8. 好き嫌いがはっきりしているほうだ
Q9. 自分はもっと評価されてもよいと思う
Q10. 自分で決めたルールを大事にしている
Q11. 人の言うことをそのまま素直に聞くのが苦手だ
Q12. 言いたいことははっきりと主張すべきだ

【計算式】
Q1+Q7の合計点が1番高い:公明正大タイプ
Q2+Q8の合計点が1番高い:博学多才タイプ
Q3+Q9の合計点が1番高い:威風堂々タイプ
Q4+Q10の合計点が1番高い:外柔内剛タイプ
Q5+Q11の合計点が1番高い:用心堅固タイプ
Q6+Q12の合計点が1番高い:天真爛漫タイプ

合計点数が1番高かったものが、あなたの怒りのタイプ。タイプごとに、どんなところにムカッとするのか、また、どのような対処をしたらいいのかをご紹介します。同じ合計点があった場合は、どちらの性質も持っている可能性があるので、両方の解説をチェックしましょう。

【怒りタイプ解説】
①公明正大タイプ
正しさや自分の信念を大切にして、目標に向かってまっすぐ突き進むタイプです。「悪いことは裁かれるべき」という価値観を持っているので、マナーやルールを守らない人を見ると注意できる行動力があり、周囲の不正やごまかしも許すことができません。自分の価値観と他人の価値観は違うということを意識し、他人の考えを受け入れる努力が大切です。

②博学多才タイプ
向上心が強く、納得がいくまで突き詰めたいという考えを持っているため、物事をしっかりやり遂げることができる完璧主義者。なんでも白黒つけたがり、好き嫌いがハッキリしています。優柔不断やあいまいな態度にイライラしてしまいがち。物事には多様な側面があることを意識し、なんでもかんでも「良い」「悪い」でジャッジしないことが大事です。「完璧でなくてもいい」と自分や他人を許し、「こういう考えもあるんだ」という視点を持つようにしましょう。

③威風堂々タイプ
自分に自信を持つリーダー的存在。物事が思い通りに進まないことがストレスで、自分でやったほうが早いと感じることがよくあります。プライドが高く「自分は大切にされるべき」と考えているので、自分の評価が低いときにストレスを感じます。「人は皆違う」という謙虚さを持つこと、自分に向けられた言葉が批判か意見なのかを区別し、自分への意見を「人格否定」と捉えないことが大事です。

④外柔内剛タイプ
穏やかそうに見えて、確固たる強い芯を持つタイプ。自分のルールを重んじ、「一度決めたことはやり遂げよう」という信念があるので、自分の信念に反する出来事があると譲れなかったり後に引けないことも。自分のルールに執着しすぎないことが大事です。また、根拠のない思い込みで人の話が聞けなくなってしまい、勝手な解釈でストレスを感じてしまうので、「思い込み」と「事実」を分けるようにしましょう。

⑤用心堅固タイプ
じっくり考えるのが好きで冷静に物事を進めることが得意。人付き合いも慎重で、周りに頼ることが苦手なタイプです。自分や他人を比較して他人にレッテルを貼ってしまったり、ねたみの感情を持ってしまうこともあります。周囲の人をよく観察して決めつけないようにする、人と比較をせず自分のいいところに意識を向けるようにしましょう。また、小さなことからお願いをするようにして、少しずつ人に心を開いて頼ることも必要です。

⑥天真爛漫タイプ
好奇心旺盛で自分の思いや主張を素直に表現するタイプ。「まず行動するべき」という価値観を持っているため、周囲の行動が遅いとイライラしてしまったり、強引に物事を進めてしまうこともあります。思ったことをストレートに言ってしまいがちなので、周りの表情や言葉をよく観察して空気を読めるようにし、「ときには自分の意見を言わないことも大事」だということを知りましょう。

怒りは無理に抑える必要はありませんが、自分がイラッとするポイントや向き合い方を知ることで適切に自分の気持を伝えたり、他人とうまくコミュニケーションをとることができるはず。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会では、ワークショップを通して感情コントロール法を学ぶことができるので、より深く知りたい方はHPをチェックしてみましょう。
https://www.angermanagement.co.jp/

山本京子さん
2011年に(株)オリーブグリーンを設立。様々な企業で入社 3 年目社員向けのフォローアップ研修のほか、リーダー向けに部下育成、会話術、営業話法、アンガーマネジメント、感情コントロール、メンタルヘルスに関する研修などを幅広く行っている。日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーター。
https://www.olivegreen.jp/

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