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生理前の不調、PMSとは?〜産婦人科専門医に聞いてみました〜

コラム 2022/01/05 235 views

生理前、なんだかイライラしたり、ちょっとしたことで泣きたくなったり、身体がだるくなるという方はいませんか?もしかしたら、生理前の不調である「PMS(ピーエムエス)」かもしれません。多くの女性が経験しているものですが、その知名度は低め。今回、まだまだ分からないことも多いPMSについて、産婦人科専門医の髙宮城先生にお話を伺いました。

髙宮城 直子(たかみやぎ なおこ)先生
Naoko女性クリニック院長。婦人科・漢方内科として、月経異常、更年期障害、不妊相談などを中心に診療を行い、思春期〜老年期のさまざまな世代の女性の悩みに寄り添い、一人ひとりに合った治療やアドバイスをする。

PMSとは何ですか?

PMSは、月経前症候群とも呼ばれる、生理前の3~10日間続く不調のことで、生理が始まると症状が軽くなります。なぜ起こるのかという原因は、はっきりと解明されているわけではないのですが、排卵後に「黄体ホルモン」の分泌量が増えるからだと考えられています。ホルモンの分泌量の変動によって、身体がむくんだり、体重が増えたり、胸が張る、頭痛や腰痛がひどくなるなどの身体的な不調のほか、イライラするといった心の症状も含め、色んな不調が出るんです。黄体ホルモンは生理前に一気に下がるので、その時がつらいという人たちもいます。

いろんな症状があるんですね。

そうですね。他にも、食欲不振や過食、倦怠感、だるさや眠さ、情緒不安定、睡眠障害、腹痛やお腹の張り、関節痛、めまい、怒りっぽくなる、落ち込みやすくなる、集中力が落ちるといった症状もあり、人によって違うんです。最近は、当クリニックでもPMSの相談で来る患者さんが増えてきていて、1日に数名はいます。中でも、気分の落ち込みやイライラするという方が多いですね。また、下痢といった胃腸の症状が出る方もいます。年代別の傾向としては、20代はお腹が痛くて相談に来る方が多く、30代の子育て世代はイライラに悩まれる方、40代後半の閉経前の方は、PMSと更年期障害が重なるケースもよくあります。

自分のPMSのパターンを知るために、毎日感じた不調を手帳に記録するのがおすすめですよ。今日はとてもイライラする、今日は腹痛があると書いていけば、生理が始まるまでのどの位のタイミングに不調が集中しているのか、どんな不調が起こりやすいのかを知ることができるので、対処しやすくなります。

PMSが重くなる原因はあるのでしょうか?

PMSは、ホルモン、体質、ストレスの3つの要因が絡まりあっていると言われています。生理前にホルモンバランスに変化が起きると、もともと体質的にむくみやすい人はむくみがひどくなったり、学校や職場でストレスを抱えていて、落ち込みやすい性格の人はより落ち込んでしまうなど、その症状が強く出てしまいます。

対処法を教えていただけますか?

適度な運動やお風呂に入ることで血の巡りを良くするといいですね。沖縄の方はシャワーで済ますことも多いですが、お風呂に入る時は湯船に浸かることをオススメします。そうすると、疲れの回復具合が全然違うんです。後は好きなアロマの香りを楽しんだり、鍼灸を受けたり、マッサージをしてもらえるお店へ行くのもいいです。とにかく自分を「おつかれさまー」と癒やしてあげるといいですね。日頃からストレスを溜めないようにして、栄養バランスのとれた食事、質のいい睡眠、適度な運動をすることが大切です。また、一人で抱えこまずに、家族に「この時期は体調があまり良くないから手伝ってね」と話してみるのもいいと思います。家庭や職場など、助けてもらえる部分はみんなに助けてもらって、自分の体調と向き合ってみてください。

病院に行ったほうがいい目安はあるのでしょうか?

症状がひどく、自分がつらいと感じるのなら一度診てもらうといいと思います。病院ではいくつかの処置があります。例えば処方されるピルを飲んで、ホルモンを一定にすると症状が改善する方もいます。ピルは「飲むと気分が悪くなる」など怖いイメージを持つ方が多いようで、日本では、3〜5%程度の人しかピルを服用されていません。ですが、実際は怖いものではありません。生理の出血量も3分の1になってナプキンも小さくて済むようになりますし、身体的にも楽になるのでもっと広めたいですね。

その他に、漢方薬を服用して体内の水分量のバランスをとる方法や、気持ちを落ち着かせる方法、また、子宮内に「ミレーナ」という器具を入れることで黄体ホルモンが少しずつ子宮内膜に作用して強い月経痛や多い出血量を抑制すると共にPMSが和らぐ方もいます。また、PMSの中でも、心の症状が重く出る方もいます。鬱のように日常生活に支障が出るほどひどい場合はPMDD(月経前不快気分障害)の可能性も考えられるため、症状によっては心療内科を紹介することもあります。

セルフケアをいろいろ試してみても症状が緩和されない方は、病院に行ったほうが早道なので、我慢しないでどんどん相談に来てください。また、PMSの相談をする時は、漢方の処方や女性医療を施しているところを選ぶのがおすすめです。

パートナーや家族は、どんなサポートができますか?

自分のパートナーや家族がいつもよりイライラしていたり、体調が悪そうにしていたりする時があると思います。これらの不調が1ヶ月に3〜10日程度見られるようなら、PMSかもしれません。まずは、PMSがどんなものかを理解して、気遣ってあげることが大切です。例えば、パートナーや家族がつらそうなら「早く休んでね」とその日の家事は引き受けるといいと思います。

生理痛に関してもそうですが、PMSの相談をすると職場で不利になる、恥ずかしいという理由から周りに言えないという方もいます。また、症状には個人差があるので女の人同士でも理解できないこともあります。普段からコミュニケーションを取って、お互いに自分のことを話しやすい雰囲気を作っておき、思いやりの気持ちを持つといいですね。