睡眠専門医 普天間先生に聞く!眠ることの大切さ

ライフスタイル 2022/08/02 113 views

ここ数年、睡眠に関する注目度が上がってきています。雑誌やテレビ、ラジオなど、さまざまなメディアで睡眠について特集されるほか、寝具をはじめ、睡眠の質を高める栄養素が配合されたお菓子など、睡眠に関する商品も数多く発売されています。今、注目を集めている睡眠について、睡眠の専門医である普天間国博先生にお話をうかがいました。

普天間国博先生
琉球大学病院 精神科神経科 睡眠外来担当医師。東京医科大学で8年ほど睡眠診療に携わった後、沖縄へ戻り、医療法人社団輔仁会 嬉野が丘サマリヤ人病院で睡眠診療科長を務める。2021年より琉球大学病院にて勤務。

睡眠は健康を保つ三大要素の一つ

健康な毎日を過ごすために、食事や運動と並んで重要とされている「睡眠」。この3つがバランス良く行われていると、病気の予防や健康の増進に結びつきます。厚生労働省健康局が作成した「健康づくりのための睡眠指針2014」には「睡眠12箇条」が定められており、「良い睡眠は生活習慣病予防につながります」「若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ」「勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を」など、睡眠に関する注意やアドバイスが盛り込まれています。睡眠不足が続くとどうなるのか、普天間先生にうかがいました。

「睡眠不足が続くと、単純に次の日は眠いですよね。それが続くと、だるさを感じたり集中力が落ちたりして、仕事や勉強でミスが増えてきます。そして体調不良につながってしまう。睡眠にはさまざまな機能があるんですが、もっとも基本的なものは身体とこころのメンテナンスです。睡眠が十分に取れないと、身体は疲れたまま、気分もリフレッシュできません。それによって免疫力が低下して風邪をひきやすくなったり、気分的に落ち込みやすくなったり、ひどくなると深刻な病気につながることもあります」。

睡眠には、身体とこころの休息やメンテナンスをするほか、記憶を整理して定着させたり、ホルモンバランスを整えたりする機能もあります。しかもどれも重要かつ、睡眠をとることでしかできないこと。こうした睡眠による重要な役割を知ると、睡眠不足を軽く考えることはできません。

kenko ISLAND62号より

寝不足はたまるけれど、寝だめはできない睡眠

「人間が生きていくうえで非常に重要な睡眠ですが、『負債』はたまるけれど『寝溜め』ができないのも特徴の一つです。寝不足が続くと『睡眠負債』と呼ばれる寝不足の借金がたまります。寝不足の借金はたまればたまるほど、さまざまな病気を引き起こすリスクが高まります。例えば高血圧や糖尿病は、血糖値や血圧のバランスが崩れることで引き起こされますが、睡眠不足や睡眠障害は血圧上昇や血糖値上層のリスクとあります。また、睡眠不足で脂肪がつきやすくなることで太りやすくもなります。さらに慢性的な睡眠不足はこころの病気にもなりやすく、不眠症からうつ病に進展するケースも多く見られます。最近では、認知症のリスクが高まるという研究結果も出ています」。

また、中高生や若年層の夜更かしは睡眠のリズムを悪化させたり、睡眠不足による体重増加にもつながるとのこと。思春期の睡眠に関する研究では、就寝や起床時間が遅いことは学業成績の低さにも関係するとの結果があります。

眠りたいのに眠れない時の対処法

睡眠の重要性を理解して、規則正しい生活や十分な睡眠時間を確保しようと意識しても、眠れない場合はどうすれば良いのでしょうか。

「眠れない時は、無理に眠ろうとすると余計に眠れなくなるので、自然と眠くなる時間を待った方が良いです。ただ、就寝時刻が遅くなったからと言って起きる時間は変えないことが重要です。私が睡眠外来で不眠症の患者さんに行う治療はいくつかありますが、その一つに『認知行動療法』というものがあります。眠るための部屋の環境を整えたり、気分的にリラックスできる方法を考えるやり方です。不眠症では、脳が常に過剰に興奮して夜間もなかなかリラックスできない状態となります。心配事やストレスが原因となることが多く、中高年の女性に多く見られますが、すぐに睡眠薬に頼るのではなく、睡眠環境を整えることから始めるといいですね」。

世界には、過去に「人がどれくらい眠らずに起きていられるのか」という断眠に挑戦した記録がありますが、それによると断眠を開始して数日すると幻覚や妄想が出始め、最終的には記憶や言語障害などの心身に変調を来すようになったとのこと。

睡眠不足でいいことは一つもなく、ぐっすり眠ればいいこと尽くし。毎日の睡眠を大切にしましょう。

[INFORMATION]
琉球大学病院 精神科神経科 睡眠専門外来
毎週金曜日午前中(予約制) TEL:098-895-3331
http://www.hosp.u-ryukyu.ac.jp/index.html