座りっぱなし対策、してますか?

とつぜんですが、あなたは1日のうち何時間座ってるか考えたことはありますか?
デスクワークで8時間みっちり座っているという人や、ネットやテレビ、スマホ利用で自宅でもほとんど座っているという人もいるかもしれません。実は、海外の調査で日本人はアメリカやヨーロッパなど世界の20カ国と比べて1日の座位時間(座っている時間)がダントツで長いことがわかっています。世界の1日の平均座位時間が300分なのに対し、日本は平均420分と2時間も多いそうです。
「座りすぎは不健康になる」とWHO(世界保健機関)が声明を出すほど、座位時間の身体への影響が最近注目されています。

「世界20か国における平日の座位時間」出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/000656521.pdf)

今回は、健康運動指導士の金城史郎さんに、座りすぎの身体への影響や、対策方法について教えてもらいました。

キケン!座りっぱなしの本当の怖さ

実際に座る時間が長いことは身体にどんな影響があるのでしょうか?金城さんによると、“座りすぎは喫煙と同じくらい身体に悪い”と警鐘を鳴らす海外の論文もあるといいます。
「ある国の研究で、運動しているかどうかに関わらず、座位時間が長い人は短い人に比べて寿命が短くなると言われています」と金城さん。座りすぎによって活動量が低下すると体重増加や糖尿病、高血圧、がん、認知症などのリスクが上がることも分かっているそうです。また、座っている状態は筋肉が動かせず、血流が滞りやすいことや、座位によって身体が圧迫され血管に負担がかかることで、狭心症や心筋梗塞、脳出血や脳梗塞などといった死に関わる病気の危険性が高まると言われています。
 そのほかにも、座りすぎの影響は身体だけではないようです。
「仕事中の座位時間が長い人ほど、メンタルヘルスが悪化しやすいことに加え、仕事への熱意や活力、没頭といったワークエンゲージメントを下げるとも言われています。長時間座り続けることで仕事の効率が下がりやすいとも考えられているのです」。

座りすぎを減らす5つのヒント

心身への悪い影響を抑えるためには、座っている時間を短くすることが大前提。ですが「デスクワークだからどうしようもない・・・」と思う人もいるはず。そんな場合の対策を金城さんが教えてくれました。「心身への影響を最小限に抑えるために大事なのは、座っている状態をこまめにブレイク(中断)することです。そうすることで筋肉を刺激したり、滞っている血流を促すことができ、リスクを抑えることにつながります」と金城さん。職場や自宅で使える座りすぎを防ぐヒントを紹介してもらいました。できることから取り入れてみてくださいね。

・30分〜1時間おきに立ち上がる

トイレ休憩や水分補給などちょっとしたことでもいいので立ち上がり、座っている状態を中断しましょう。タイマーや座りすぎ防止アプリを利用したり、仕事への集中が途切れたタイミングで席を立つなど、自分に合ったルールを決めるのがおすすめです。

・スクリーンタイムの時間を設定

 私生活でテレビやスマホなどの利用を楽しんでいるとついつい時間が経ってしまうもの。スマホの利用時間や内訳、利用制限ができるスクリーンタイムの機能を利用し、スマホ使用時間を30分や1時間などと設定することで、こまめに休憩を挟み、身体を動かすようにしましょう。

・スタンディング◯◯を活用

 座って行う会議だけでなくスタンディング会議を取り入れたり、高さのある机やカウンターで立って作業する、コーヒーブレイクをスタンディングにするなど、職場の協力が必要ですが、立って過ごせる環境を取り入れるのも手段の一つ。スタンディング会議を取り入れると、話を簡潔に済ませられたり、若手社員が発言しやすくなったという事例もあるそうです。

・歩く&立っている時間をかせぐ

例えば、トイレは遠くのフロア(または別の階)を利用する、駐車場は目的地より少し遠い場所を利用する、バスや電車では座らずに立つなど、ちょっとの工夫で歩く・立つ時間をこまめにかせぎましょう。

・ストレッチやエクササイズを取り入れる

全身の筋肉の約7割は下半身にあるため、これらの筋肉を動かすことで滞った血液を巡らせることができます。デスクワーク中やちょっとしたスキマ時間でもできる簡単なエクササイズを取り入れてみましょう。

①膝裏伸ばし

 イスに少し浅く腰掛けて左膝を伸ばし、前かがみになって膝裏をストレッチ。膝が曲がらないように押さえてもOK。両方行う。


②かかと上げ

椅子に腰掛け、つま先を床につけた状態でかかとを浮かせる。この時、ふくらはぎの筋肉を意識するのがポイント。これを何回か繰り返す。
できる人は、かかとを持ち上げる際に、膝を手で押さえて負荷をかけることでより筋肉を刺激できます。

③膝伸ばし

椅子に座って片方の膝を伸ばし、足を地面と平行になるように上げる。そのままの状態でつま先を身体側へ伸ばすことで大腿四頭筋(太もも前部)を鍛えることができます。

いかがでしたか?金城さんによると、今回紹介したようなちょっとした身体活動でも十分意味があるのだそう。また、立ち上がって軽めにスクワットをしたり、その場で足踏みを行うことが出来ればなお良いそうです。
「私は運動習慣があるから大丈夫」と思っている人は要注意。運動習慣がある人でも、連続して座っている時間が長ければ運動による効果が低くなってしまうというデータもあるといいます。

たった1分でもいいのでコツコツとブレイクを取り入れ、座りすぎを予防しましょう!

——————————————————————————————-

監修:金城 史郎さん
健康運動指導士
沖縄県健康づくり財団 アンチエイジング医療センターにて、利用者の運動サポートや生活改善のアドバイスを行い、県民の健康になる習慣づくりをサポートしている。
(一財)沖縄県健康づくり財団 アンチエイジング医療センター
沖縄県南風原町宮平212 https://www.ganjuu.or.jp/facility/antiaging/

脂肪って、ナニモノ?

「脂肪」という言葉を聞くと、なんとなく“身体に良くないもの”とイメージする人は多いのではないでしょうか。確かに、必要以上に身体に脂肪が溜まってしまうと、心臓や血管の病気、生活習慣病にかかるリスクが上がると言われていますが、実際のところ脂肪はどんな役割を持っているのでしょう。

「実は、脂肪は身体にとって必要不可欠なんですよ」と話すのは管理栄養士の前原さやこさん。10年以上にわたって患者さんの生活習慣病改善やダイエットのサポートを行ってきた前原さんに、「脂肪」とはいったいどんなものなのか、脂肪を溜め込まないコツについて教えてもらいました。


脂肪にはどんな役割がある?

「脂肪は、身体にとって効率の良いエネルギー源。人は食べたものを身体の中で消化吸収し活動するためのエネルギーに換え、使いきれなかった分は脂肪として貯めておきます。また、食品からとる脂質は細胞の材料に使われていたり、ホルモンの材料でもあります。そのほかにも、ある種のビタミンの吸収を促してくれる効果もあるなど、とても大切な役割を担っています」。

参考イラスト:CTスキャンによるお腹の輪切りの図

 身体に蓄えられる脂肪は大きく分けて、皮下脂肪と内臓脂肪の2種類。
皮下脂肪は、お腹や二の腕、お尻、太ももなど、身体のあらゆるところについていて、指でつまむことができるもの。身体を外部の衝撃から守るクッションのような役割や、身体の熱を溜め込んで保温する効果もあります。内臓脂肪は、内臓の内側についている脂肪のことで、CTスキャン検査でお腹を輪切りにした画像を撮影することで確認できます。内臓脂肪は、食べ過ぎや飲み過ぎによって蓄積され、必要以上に溜まってしまうと、動脈硬化や高血圧、高血糖といった生活習慣病になってしまったり、放置すると脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる病気を引き起こすリスクも高まります。

「太古の昔、食糧が貴重だった時代は身体に脂肪を溜めることで飢えをしのいだり、脂肪による断熱効果で冷えから守るなど、命をつなぐために脂肪はとっても大事な存在だったんです。ですが現代は“飽食(ほうしょく)の時代”と言われていて食べ物が世に溢れていますから、飢えをしのぐ必要はなくなりました。逆に食べすぎて脂肪を溜め込んでしまうことで病気の引き金になることもあるのです」と前原さん。時代の変化によって悪者とされるようになった脂肪。身体にとって必要なものではあるものの、必要な量を超えて蓄積してしまうと身体に悪い影響を与えてしまいます。

 では、脂肪を溜めすぎない・または減らすためにはどうしたら良いでしょうか?前原さんに生活のヒントを聞きました。

脂肪を減らす生活のヒント

 前原さんによると、脂肪を減らすポイントは食生活にあるそう。
「身体は、溜め込んだ脂肪をエネルギーとして使うことで燃焼できます。健康のためにはもちろん運動も食事もどちらも大事ですが、脂肪を燃焼するために重視したいのは食生活なんです」。

 実は運動で脂肪を減らそうとするとかなりハードな運動が必要だそう。
「初心者や運動習慣のない人がいきなり運動量を増やすのは難しいため、“脂肪を減らすために運動する”と考えるのではなく、普段からエレベーターよりも階段を使う、一駅分歩くなど、日常の中で無理なく消費を増やす程度でOK。それに加えて、毎日の食事の選び方や量を工夫することが、脂肪を燃焼する近道なんですよ」

毎日の食生活に工夫を加えることで、脂肪を溜めにくく、減らしやすい習慣に。さっそく内容をチェックして、できることからはじめてみましょう!

①1回の食事は20分以上かける

一般的に噛む回数は20〜30回が理想と言われますが、食事にかける時間をある程度一定に保つことも痩せるポイント。それには、食欲をコントロールしてくれる「満腹中枢」という神経が関係しています。満腹中枢は、食べ始めてから20分ほどで満腹感を感じ、食欲を抑える司令を出してくれます。そのため、早食い傾向にある人は、満腹中枢を刺激できず食べる量が多くなってしまうので要注意。

②睡眠は6〜7時間以上とる

睡眠時間をしっかりと確保できている人はGood。睡眠不足は、食欲UPに繋がってしまいます。また、寝ている間に成長ホルモンをしっかりと分泌させることで、睡眠中の脂肪燃焼時間をしっかりと確保することができると言われています。

③水分をしっかりとる

脂肪を減らしやすい習慣に、十分な水分摂取が挙げられます。水やお茶などを飲む量が少ないと血液中の水分も不足してしまい、酸素や老廃物をスムーズに流せなくなってしまう要因に。水分をしっかりと取ることで代謝の効率が良くなると言われているので、1日あたり体重×30ml(体重60kgの場合、1.8ℓ)水分をとるのがおすすめです。

④良質な油を選ぶ

脂肪を増やさないためには、良質な油を選ぶことがポイント。菓子パンや洋菓子に含まれるマーガリンやショートニング、ファットスプレッドなどの合成油脂、また、甘いドリンクに含まれる植物性油脂などは、とりすぎると腸内環境が乱れやすくなると言われています。腸内環境が良いと、スムーズに栄養を消化吸収し老廃物を便としてしっかり排出することができますから、脂肪が蓄積しにくい体質へと導いてくれます。また、良質な油を選ぶなら、亜麻仁油や、エゴマ油などは、エネルギーとして使われやすいので、身体に蓄積しにくいと考えられています。

⑤正しい方法で体重を測る

実は体重を計る際にはポイントがあります。まず、測るタイミングは1日1回、毎日同じ時間帯・同じ条件で測ることが大切。おすすめは、朝起きてトイレを済ませてからのタイミング。そしてもう一つは、体重の変動は毎日あれど一喜一憂せず、1〜2ヶ月といった長期スパンで変動の傾向を見ること。全体を俯瞰して見て減少傾向であればOKです。また、体重だけでなく体脂肪率にも注目しましょう。例えば、体重は減っていても体脂肪率が変わらない状態が続くのは、筋肉が減っている可能性もあるため、痩せ方として見直しが必要です。人によって体質は様々ですが、食生活を整えることで体質が改善し、体重と体脂肪率がじわじわと変化してくるパターンが多いので、長い目で見て続けましょう。

⑥発酵食品を積極的にとりいれる

納豆、味噌、乳製品(ヨーグルト・チーズ)といった発酵食品は腸の中の善玉菌を増やし、腸内環境を整えてくれます。腸内環境が整っていると、便秘を予防・解消できますし、便を溜め込まないことは脂肪を溜め込まない体質づくりにつながります。脂肪を減らしたいがなかなか痩せにくいと感じている人は、腸内環境を整える食品を積極的に摂ることをおすすめします。

⑦自分の適切な食事量を知る

適切な食事量を知ることは、余分な脂肪蓄積を防ぐことにつながります。
基本的には、1日3食食べ、食欲UPや食べムラにつながる欠食は脂肪も燃焼しにくくなるため避けましょう。
脂肪を蓄えないためには、食事の基本である一汁三菜と言われるように、「ご飯・汁もの・おかず」を組み合わせることでバランスよく栄養をとり、その上で、量をコントロールすること。カロリー計算は取り入れるのが難しいため、私たち栄養士が食事相談の際に参考にしている「手ばかり栄養法」がおすすめです。これは、例えば肉や魚、豆腐などのタンパク源の1日の目安は、両手のひらに軽く乗る程度、両手にいっぱいの緑黄色野菜、そのほかの野菜やきのこ類は両手に2杯分食べるという風に、食事の目安量をシンプルに教えてくれるのでおすすめです。 

※リンク:「手ばかり栄養法」いわさきグループ https://www.foodmodel.com/



いかがでしたか?いくつかのポイントを紹介しましたが、中には聞いたことがあるという項目があるかもしれません。身体は、1ヶ月で細胞の75%が入れ替わると言われています。バランスのとれた食生活をまず1ヶ月続けてみることが脂肪を燃焼していく土台づくりにつながります。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


脂肪対策!パターン別おすすめウェブ記事

kenko ISLANDで紹介してきたたくさんの記事の中から、ダイエットに役立つおすすめ関連記事をご紹介します。脂肪燃焼には自分にぴったりの方法を見つけて、ぜひ取り入れてみてくださいね。

①食事で太らないコツを知りたい! 
→「健康で美しいカラダを手に入れよう!太らないコツ 〜食事編〜」
https://www.islandweb.okinawa/hutoranaikotsu1/

②良い油の取り入れ方を知りたい!
→「油の上手な選び方、使い方」
https://www.islandweb.okinawa/abura_erabikata/

③日常生活で、ながら運動を取り入れたい!
→「健康で美しいカラダを手に入れよう!太らないコツ 〜運動編〜」
https://www.islandweb.okinawa/hutoranaikotsu2/

④運動効率をアップしたい人
→「体幹のインナーマッスルを鍛えて運動の効率を上げよう!」
https://www.islandweb.okinawa/innermuscle/

——————————————————————————————

監修:前原さやこさん
管理栄養士。10年間の病院勤務で、2700名以上に食事指導で健康をサポート。自身も産後のダイエットに取り組み、食生活を変えたことで減量だけでなく長年悩んでいた偏頭痛も改善。現在は女性を対象に、無理なく健康的に食べて痩せるダイエット法を用いた食事管理やアドバイスをオンラインで実施している。
〈Instagram〉sayako_fooddiet

公式マスコット「わお」って?