健康運動指導士、金城智士さんに質問!「夏バテ対策に運動は必要ですか?」

8月に入り、毎日本当に暑い日が続いていますが体調を崩したりしていませんか?また、暑いからといって涼しい部屋にこもりっ放しになっていませんか?暑い中、激しい運動をするのは熱中症になる危険性が高くなります。かといって暑い時期はまったく運動をしない方がいいものなのでしょうか?夏バテ対策に運動はいる?いらない?そんな疑問について、健康運動指導士の金城智士さんにうかがいました。

金城智士(きんじょう さとし)さん

健康運動指導士。SOLA沖縄学園の講師や、南城市社会福祉協議会の健康講座にてトレーナーを務めるほか、トレーニングジムにてフリーのパーソナルトレーナーとして活躍。

汗をかいて体温調節がきちんとできる身体に

一昔前は夏バテというと、暑さと湿度の高さに身体が慣れないことから起こるとされていましたが、近年はエアコンの登場により屋内と屋外の温度差に身体がついていかないことが主な原因とされています。そこには自律神経の働きが関係していると金城さんは言います。

「汗をかいて体温調整をするというのは自律神経の仕事なんですね。もともと人間の身体は恒常性といって体温を36〜37度に保てるようになっています。でも自律神経が狂うとうまく汗をかけなくなり、体温調整ができなくなってしまうんです。夏場にクーラーの効いた快適な環境にずっといると汗をかく機会がほとんどなく、そうするといざ暑いところへ出た時も汗をかけず、熱を身体に閉じ込めてしまうことになる。そうすると夏バテや熱中症になりやすくなるんですね」。

汗をかく機会が減ると、その分その機能も衰えてしまう。そのため、体温調節がうまくできるように、夏場でも運動をして汗をかくようにすることが大切なのです。

暑さに負けないための体力をつける

「運動が必要なのは汗をかく機会をつくるためだけではなくて、暑さに負けない体力をつけるためにも必要なんです。“体力”には、心肺機能や筋肉、速く走るためのスピード力など、さまざまな要素があります。筋力を高めるには筋トレ、心肺機能を高めるにはウォーキングやランニング、柔軟性を高めるにはストレッチなど、何を鍛えるかによってやるべき運動は変わりますが、夏バテ対策にはそれらを総合的にやるのがいいですね」と金城さん。

そこで紹介してくれたのが一日の時間帯によって内容を変えるトレーニング。kenko Island56号で「日常生活のながらトレーニング チョイトレ10」として紹介していますが、ここで大事なのは「メリハリをつける」ということ。

朝は身体にスイッチを入れて活動しやすい状態にするためのストレッチ。日中は作業をしながらできる筋トレをやったり、仕事終わりには軽いウォーキングで心肺機能を鍛える。夜、寝る前には心地よい眠りにつながるようなリラックスできるストレッチ。一日の中でさまざまな機能を使ったり、次の行動に役立つトレーニングやストレッチを取り入れることで、体力をつけられるだけでなく、毎日を不調なく過ごすためにも役立ちます。でも大切なのは適度な運動というポイント。激しくやりすぎると逆に疲れてしまい、それが引き金になって夏バテになることもあるので注意が必要です。

夏の健康維持は毎日コツコツと

日常生活で手軽にできる「チョイトレ」をやる上で、金城さんが「これは大事!」と教えてくれたのは「使っている部位を意識する」ということ。「あ、この動きはここに効いているぞ」と思いながらだと、同じ動きをするにしても効果の出方は違うといいます。また、毎日少しずつの運動でも体力はそれまで以上に維持できるようになるし、やったらその分だけ身体に変化は起こるもの。汗をかきにくいと思っていても、運動を1ヶ月くらい続けると発汗機能は戻ってくると金城さんは話してくれました。

また、忙しい現代人にとって一日の疲れをしっかり取ることはとても大切なこと。そのためには眠る前に身体をほぐす習慣をつけるようにすると良いとのこと。「仕事などで緊張したり頭をフル回転させたりすると、その時の呼吸はだいぶ浅くなっています。その時は首や胸を使って呼吸しているので首回りの疲れがひどくなるのと、呼吸自体がうまくできていないことも多いんです。それをほぐさないまま眠りにつくと、寝ている間も呼吸がうまくいかず、疲れがとれなくなってしまうんですね。それを避けるためにも、寝る前にしっかり疲れた部分をほぐすストレッチをして、深い呼吸ができる状態にしてから眠るのがいいですね」。

具体的なストレッチやトレーニングは動画でも紹介中。ぜひ参考にしてみてください。

“夏バテ”に負けない食事のコツ

夏真っ只中ですね。
体調は崩していませんか?
暑さで、やる気が起きない、食欲が湧かない・・・と食事もついつい冷たいものや、麺類などに偏ってしまう人も多いかもしれません。

「食事が偏ると、身体に必要なたんぱく質やビタミンなどの栄養素が不足し、疲れやすくなったり、元気が出なくなったりと、夏バテを助長してしまいます」と管理栄養士の奥間 若香菜さんが話すように、食事は身体をつくる基となる大事な要素。しっかり食べて、夏を上手に乗り越えたいですよね。

奥間さんには、『kenko ISLAND 56号』で、夏バテ対策に効果的な食事のメニュー例や、簡単レシピを教えていただきました。WEB版では、夏バテに負けない食べ方のヒントを教えてもらいましたよ!

夏野菜で上手に夏バテ対策!

太陽の強い日差しを浴びて青々と育った夏野菜はどれも生き生きとして色鮮やかなものばかり。旬の時期は栄養価がもっとも高く、その季節に必要な栄養素がたっぷりと含まれています。夏野菜は、水分、カリウムを多く含むのも特徴で、夏バテや熱中症の予防にもってこいなんです。

例えば、レンチンレシピで紹介した「チンジャオロース」に使われるピーマン。

ピーマンはビタミン類が豊富で、中でも免疫力を高めたり紫外線から肌を守るカロテンや、ビタミンCもたっぷり。ピーマンのビタミンCは熱に強いので、炒めて食べてもOKです。また、油で炒めることでカロテンの吸収率もUP。さらに、ビタミンB1が豊富な豚肉と組み合わせることで疲労回復効果も得られます。

「鶏とナスのピリ辛南蛮」で使用したナスは、カリウムが豊富。

カリウムには利尿作用があり、むくみの解消や身体にこもった熱をクールダウンしてくれる優れもの。夏に多く出回る、トマトやきゅうりもカリウムを多く含む野菜の1つです。

また、鶏むね肉には、疲労回復効果が期待できる「イミダゾールペプチド」が多いので、疲れた身体を癒してくれ、おいしくて身体にも嬉しい一品です。

ナスの紫色の皮に含まれるアントシアニンの「ナスニン」には強い抗酸化作用があり、がんや生活習慣病のもとになる活性酸素を抑えるはたらきがあります。この成分は水に溶けやすいので、水にさらさずに調理するのがおすすめ。

そのほかにも、夏バテ予防に大切なたんぱく質やビタミン類がとれる、お手軽でおいしいレシピを紹介していますよ。

ちょっとの工夫で栄養アップ♪

「わざわざ作らずとも、手軽な食品をそろえて彩りを加えるだけで、栄養バランスのアップに繋がりますよ」と奥間さんが話すように、例えばコンビニのサラダ、惣菜コーナーの刺身、野菜チャンプルーなど、彩りを意識して選ぶと自然と栄養素のバランスも整ってきます。

「自炊する場合は、野菜の上にお肉をのせて料理酒を振ってレンチン、ポン酢をつけるだけでさっぱりとおいしく食べられます。麺類なら、サバ缶とトマト缶を使ってパスタにしたり、そうめんに、ほぐしたササミや、卵、オクラをプラスするのも簡単でおすすめです」

また、みょうがやワサビ、生姜やネギなどの薬味を上手に使うことで、食欲増進や疲労予防にも良いのだそうです。

楽をしながら、でもちょっぴり栄養バランスも意識して、この暑い夏を乗り切っていきましょう!

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