身体に必要な基本の栄養素「P・F・C」を知る

人間が生きていくためには、毎日の食事で必要な栄養素を取り入れることが必要ですが、その中でも基本的なエネルギーをつくり出すのがkenko ISLAND61号でも特集をした三大栄養素と言われる「P・F・C」です。そもそも「P・F・C」ってどんな栄養素でどんな食材に含まれているの?普段の食事でどのように取り入れればいいの?など、基本的な知識について紹介します。

「P・F・C」はそれぞれどんな食材に含まれている?

「P・F・C」とはそれぞれ、PROTEIN(プロテイン)=たんぱく質、FAT(ファット)=脂質、CARBOHYDRATE(カーボハイドレイト)=炭水化物のこと。kenko ISLAD61号で監修およびワンパンレシピを教えてくれた、管理栄養士の大城京子さんにそれぞれの特徴と働きについてお話をうかがいました。

「炭水化物はごはんやパン、うどん、パスタなど、穀物に多く含まれ、脂質は調理油やバターなどの油、たんぱく質はお肉やお魚、卵や大豆製品などに多く含まれています」

「P・F・C」の栄養素の働きとは?

P:たんぱく質

最近はプロテイン関連商品が多く発売されるなど、何かと注目を浴びているのがたんぱく質。健康のみならず、美容やダイエット、そして免疫力強化などの観点からも重要な栄養素とされることから、メディアでも取り上げられることが多くなりました。

プロテインという言葉は、ギリシャ語で「第一にとるべきもの」という意味。その言葉通り、たんぱく質は、身体の筋肉や内臓、皮膚、髪の毛、爪、血液、骨などを構成する主要成分。それに加えてホルモンや酵素、神経伝達物質や免疫物質などの原料としても欠かすことのできないものです。

ちなみに、たんぱく質は摂取しても、運動不足だと身体が栄養素をうまく使うことができません。摂取した栄養が十分に活かされるよう、適度な運動でたんぱく質の利用効率を高めることが大事です。

F:脂質

脂質は肥満の原因になるからと、悪者イメージを持たれがちですが、細胞の表面を覆う細胞膜の成分となったり、ホルモンや消化吸収に関わる胆汁酸の原料になるほか、脂溶性ビタミンの吸収を良くする働きもあります。ただし、1gあたりのエネルギーが炭水化物やたんぱく質の約2倍と多いため、とりすぎると肥満を招いてしまいます。

「脂質は中性脂肪やコレステロールを増やして動脈硬化を進行させる」と敬遠されますが、それは主に肉の脂身やバターなどに含まれる「飽和脂肪酸」と呼ばれる脂質の構成成分によるもの。逆に、魚やオリーブオイルなどに含まれる「不飽和脂肪酸」は、種類によっては血中コレステロールや中性脂肪を減少させる働きがあるので、「脂質=良くないもの!」というイメージではなく、いろいろな油をバランス良くとることが大切です。

C:炭水化物

炭水化物=糖質、というイメージの人も多いかもしれませんが、炭水化物は「糖質」と「食物繊維」に分けられます。そのうち、エネルギー源として働くのは糖質。たんぱく質や脂質もエネルギー源になりますが、炭水化物の糖質は、すぐにエネルギーに変わるのが特徴です。糖質が不足すると基礎体力が落ちたり、疲労感が強くなるなどの弊害がある一方、摂取しすぎると余った分が体内に脂肪として蓄積されてしまいます。

一時期、食事において炭水化物を抜くダイエットが話題になりましたが、炭水化物の糖質が分解されてできるブドウ糖は、脳の活動を支える重要な栄養素。ブドウ糖が極度に足りなくなると、意識障害などを引き起こす可能性も。ブドウ糖は脳に貯蔵することができないので、食事から定期的に摂取する必要があります。

ちなみに、炭水化物のもう一つの栄養素である食物繊維は、腸内環境を整えて、便秘を予防したりコレステロールや血糖値の上昇を抑制する働きが期待されています。

バランスが大切!自分に必要な「P・F・C」の量はどのくらい?

健康を維持するための適切なPFCの摂取エネルギー比率は、たんぱく質が13〜20%、脂質が20〜30%、炭水化物が50〜65%とされています。「じゃあ、具体的に何をどのくらい食べればいいんだろう?」と悩んだら、簡単に知る方法が2つ。

一つは、自分の年齢と身体活動レベルを入力するだけで、1日に必要なPFCを算出してくれるサイトの利用。管理栄養士の大城さんも使っているという「ke!+san」サイトを教わりました。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1183426410

算出された必要量を目安に、日々の食事で栄養素の量を意識していきます。
例えば、20歳の女性、身体活動レベルが「ふつう」の場合、必要な栄養素は以下と算出されます。

1日にたんぱく質を50g摂取したい場合、例えば以下のような内容を食べれば、必要量がおおよそ摂取できるということ。(( )内はたんぱく質の量)

・鶏ささみ1.5本(24.6g)

・たまご1個(12g)

・木綿豆腐半丁/150g(10.5g)

・ヨーグルト1個/100g(4g)

食品に含まれている栄養素の量を知るには、文部科学省の「食品成分データベース」をチェック。パッケージに栄養成分が書かれているものも多いので、確認する習慣をつけると、どんな栄養素がどのくらい入っているのか、覚えられるようになってきます。

https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

そしてもう一つの方法は、「手ばかり栄養法」。一人一人体格が違うように、手の大きさも異なるもの。「私たちも栄養指導でよく使いますね」と大城さんが言うように、自分の手のひらを使って、必要量を把握する方法です。

ごはんは1食あたり両手に一杯、たんぱく質は1日あたり両手のひらにのる量と、大まかなイメージを持っておくことで、大体の必要量が把握できます。

「どんな食品にどんな栄養素が含まれているかを、ある程度知るまではちょっと難しいかもしれませんが、まずはできるだけいろんな種類の食品を食べることと、いろんな調理法のメニューを選ぶようにするといいかもしれません。それだけで幅広い栄養素が摂取できるはずなので」と大城さん。

栄養素を意識することに慣れるまでは、難しいと感じることもあるかもしれませんが、「P・F・C」の量は1食ごとで考えなくても、1日のトータルでバランスが取れればOK。例えばお昼に脂質をとりすぎてしまったら、夕飯は少なめにするなどで調整することができます。最初は無理せず、できることから始めてみるのが長く続けられるポイントです。

野菜を食べたい時に行きたいお店3選

彩り豊かでビタミンやミネラルなどの栄養もたっぷりな野菜。こってりしたものを食べ過ぎた時、疲れた時に食べたくなることはありませんか?今回は、沖縄県内でこだわりの野菜を使った料理が食べられる3つのお店を紹介します。おいしい野菜を食べて、心も身体も元気になりましょう!

※新型コロナウイルスの影響で、開店日や営業時間が変更している場合がございます。最新の情報は各店のHPまたはSNSをご覧ください。

地元の人と作り上げた味 〜カフェこくう〜

 今帰仁村にある「カフェこくう」は、赤瓦の屋根が目を引く古民家風カフェ。開放感のある大きな窓からは、海とやんばるの森を見渡すことができ、落ち着いた空間で食事を楽しむことができます。そんなカフェこくうのおすすめメニューは、9種類の野菜のおかずと汁物、ご飯がセットになった「こくうA」。地元で採れたハンダマやゴーヤー、トマトなど、使われる野菜は季節や日によって変わります。「同じ味だと飽きちゃうので、日々少しずつ味を変えるようにしています」と話すのは、オーナーであり、夫婦ともに料理人の熊谷祐介さんと友紀子さん。毎朝二人でメニューについて話しながら料理を作ります。

「野菜の味をぜひそのまま楽しんでほしい」と、祐介さん。例えば、苦味を抜くために水にさらすか塩もみをすることが一般的なゴーヤーを、あえて苦さを活かすために下処理を行わずに調理をしたり、味にクセのある野菜もそれを無くすのではなく、逆においしさとして感じられるよう調理をするそう。

 移住したばかりの頃は知らない島野菜も多かったという祐介さんですが、地元の人からおいしい食べ方を教えてもらってメニューに取り入れ、アレンジをして今の料理の味になったとのこと。常連のお客さんから愛されるカフェこくうの味は、熊谷夫妻の日々の研究と地元の人が一緒に作り上げたものなのです。

カフェこくう
住所:沖縄県国頭郡今帰仁村諸志2031-138
TEL:0980-56-1321
営業時間:11:30〜売り切れ次第
定休日:日・月
SNS:〈Instagram〉cafe_koku_okinawa

美味しさの秘訣は土づくりに 〜キタナカガーデン〜

地球にも健康にも配慮した食材をふんだんに取り入れ、健康志向の人からも注目を集める「キタナカガーデン」。EMウェルネス 暮らしの発酵ライフスタイルリゾート(旧コスタビスタ沖縄ホテル&スパ)内のレストランです。3ヶ月に1回のペースでメニューが変わるというランチビュッフェは、発酵のチカラを利用したメニューが特徴。12月〜2月までは、EM(自然界にいる善玉菌が集まったもの)の発酵を活用し、循環型の養殖システムで育てられた「結のエビ」を使用した「結のエビの発酵チリソース」や、EM牛乳を使用した「自社農場で採れた野菜のペンネグラタン」、しゃきしゃきとしたビーツが入った冷製の「ビーツのポタージュ」など、シェフこだわりのメニューが勢揃い。

その中でも、野菜本来のおいしさをそのまま味わえる「冷やし野菜」や、4~5種の野菜が日替わりで提供されるサラダバーはどれも格別。きゅうりは水分たっぷり、プチトマトはフルーティー、にんじんは優しい甘さが感じられます。キタナカガーデンの美味しい野菜を作るためには、土作りが大切なのだそう。レストランで出た食べ残しとEMを混ぜて発酵させ、木のチップと合わせてさらに発酵させた堆肥を土に混ぜることで、安全でおいしい野菜が育つのです。また、「冷やし野菜」のドラゴンフルーツソースやEM発酵味噌、サラダバーの自家製ゴーヤードレッシングや自家製麹トマトドレッシングなど、野菜のおいしさを引き立てるソースや、ドレッシングと一緒に食べるとおいしさもひとしお。手間暇かけて育てられた野菜を堪能できます。

キタナカガーデン
住所:沖縄県中頭郡北中城村喜舎場1478番地
TEL:098-935-1500
営業時間:(ランチビュッフェ)11:30-15:00
※ラストオーダーは14:30
定休日:無し
HP:https://kurashinohakko.jp/

野菜たっぷりの彩り豊かな定食 〜食堂faidama〜

 食堂faidamaの「ファイダマ」とは、八重山諸島で「食いしん坊」を意味する言葉。那覇市出身の高江洲毅さんと石垣島出身の美沙さんが切り盛りしている食堂です。看板メニューは、前菜、季節の副菜 2〜3 種、ご飯、汁物、主菜が2週間で替わるfaidama定食。華やかな色合いのメニューは、地元のお客さんはもちろん、観光客など多くの人から愛されています。素材の味を大切に、野菜のおいしさが際立つシンプルな味わい が食堂faidamaの自慢。例えば、ゴーヤーの醤油漬けは、醤油や砂糖などを使って味付けをし、生姜をアクセントにゴーヤーの苦味も感じる漬物です。また、サラダのドレッシングにも美らキャロットが使われていたりと、思わぬところにも野菜が使われているのが嬉しい。

 そんな食堂 faidama の野菜は、糸満市喜屋武にて畑仕事をする、毅さんのお父さんが収穫した野菜をメインに、毅さんの叔父さんや、やんばるの農家の野菜などを使用しています。美らキャロットや小禄ナス、クレソン、ピーマン、ゴーヤー、紫キャベツなど、旬の野菜をふんだんに取り入れたfaidama定食は、満足感を感じられる逸品。季節によって変わる野菜を味わえるのも魅力です。また、何種類もの野菜デリが入ったfaidamaわっぱ弁当を始めとしたお弁当も人気。どれも野菜不足を感じた時にぜひ食べて欲しいメニューです。

食堂faidama
住所:沖縄県那覇市松尾2-12-14-1階
TEL:098-953-2616
※お弁当、オードブルは1週間前に予約が必要。
営業時間:11:00〜15:00 (売り切れ仕舞い)
※ラストオーダーは14:00
定休日:月・火・水
HP:https://faidama.com/

公式マスコット「わお」って?