体幹の弱さが引き起こす不調とは?

カラダ 2025/12/25 20 views

「体幹」とは、頭と手足を除いた胴体全体のことで、筋肉だけでなく骨や関節なども含まれています。体幹は身体の動きや姿勢の土台となる重要な部分で、スポーツをする人だけでなく、全ての人にとって大事な役割を担っています。
この記事では、kenko ISLANDの72号「体幹ガチトレ」で紹介した内容をさらに深堀りし、体幹が弱くなることで起こりやすい腰痛や、スマホ使用による不調について、体幹を構成している筋肉や関節の視点から解説します。

実は若い世代にも増えている、腰痛

腰痛は「年齢によるもの」と思われがちですが、近年は若い世代でも悩む人が増えています。その原因の一つとして指摘されているのが、体幹部分の筋肉の弱さ。
運動不足によって体幹の筋肉が衰えると、正しく身体を支えられなくなり、姿勢が崩れやすくなります。その結果、腰などに負担がかかり、痛みにつながってしまうのです。
さらに、長時間のPC作業やスマホ操作による前かがみ姿勢や猫背も、腰痛リスクを高める大きな要因となります。

ロクト整形外科Azでトレーナーを務める比知屋裕樹先生は、腰痛が起こりやすい理由を次のように説明します。
「胴体は、背骨を中心に、胸のあたりはろっ骨で囲まれ、腰の下は骨盤で守られています。ただ、お腹まわりを支えている骨は背骨(腰椎)だけ。構造的に弱いため、負担が集中しやすいのです」
つまり腰は、骨だけで支えるには負担が大きく、
本来は筋肉が連動して、胴体を“筒”のように支える必要があるのです。

胴体を支える体幹の主な筋肉
理想的な姿勢では、次の筋肉が協力して働いています。
これらがうまく働かなくなると、腰椎まわりだけで身体を支える状態になり、腰痛を引き起こしやすくなります。※下図参照

・腹部の筋肉(腹直筋・腹斜筋・腹横筋)
・背面側の筋肉(脊柱起立筋、広背筋、僧帽筋)
・お腹の深部にあるインナーマッスル(腹横筋・横隔膜・多裂筋・骨盤底筋)

長時間のスマホ姿勢が体幹を弱らせる理由

PCやスマホを長時間使用する際、人は無意識に頭が前に出て、肩が内側に丸まり、ろっ骨が内側に閉じた姿勢になりがち。この姿勢が続くと、次のような問題が起こります。

① 筋肉のバランスが崩れる
腹筋群は縮こまり、背面側の筋肉は伸びきった状態に。どちらも本来の力を発揮できず、姿勢を保ちにくくなります。
② 呼吸が浅くなり、腹圧が保てない
ろっ骨が閉じた状態では横隔膜がうまく働かず、腹圧(お腹の内側の圧力)が低下。腹圧が保てないと、体幹が不安定になります。
③ 背骨まわりだけで姿勢を支えてしまう
腹横筋や多裂筋などの深層筋が使えないことで、腰椎周辺に負担が集中し、腰痛へとつながります。

体幹の筋肉の弱さは膝・股関節・肩にも影響する

体幹は上半身と下半身の力をスムーズにつなぐ中継点。
体幹が不安定だと、歩行時に膝が内側にねじれたり、股関節に余計な負担がかかったりします。さらに、肩がすくみやすくなり、首こりや肩こりが悪化するといった連鎖的な不調も起こりやすくなります。

腰痛や肩こりなどの不調を防ぐために大切なこととは?

体幹の筋肉を正しく使い、“固める”と“動かす”の両方の要素を取り入れた体幹トレーニングを習慣付けると、身体に負担のない姿勢をキープすることができます。比知屋先生に教わった大切なポイントは以下の2つです。
どちらか一方だけでは不十分で、両方を意識することが体幹強化の近道です。
● 体幹を固め、安定させる
深い呼吸をして深層筋を刺激するドローインの呼吸法や、お腹や背中まわりの筋肉を刺激するトレーニングで体幹を安定させる
● 関節の可動性を取り戻す
背骨の曲げ伸ばし、胸椎の回旋、肩甲骨の動きなどで、固まった関節を動かす

筋肉は20歳前後をピークに、使わなければ徐々に低下していきます。体幹も例外ではありません。しかし、体幹は意識して使えば、年齢に関係なく応えてくれる部分でもあります。
まずは呼吸を意識する「ドローイン」など、やさしい体幹トレーニングから始めてみましょう。kenko ISLAND「体幹ガチトレ」では、日常に取り入れやすい体幹トレーニングも紹介しているのでぜひご覧ください。

監修
比知屋 裕樹 先生

ロクト整形外科Az所属。トレーナーとして、スポーツでのケガをはじめとした整形外科疾患のリハビリ・治療サポートを行う。自身も身体を鍛えるスポーツマン。


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