栄養バランスばっちり!簡単ワンプレートのススメ

 沖縄でも徐々に冷え込む日が増え、体調を崩しやすい時期になりました。そんな時も、食事の栄養バランスを整えて心も身体も元気に乗り越えたいものですね。令和2年12月1日に発行した『kenko ISLAND vol.57』では、管理栄養士の長嶺 由香さんにおいしくて簡単で、栄養バランスの整ったワンプレートレシピを教えていただきました。今回は、紙面に掲載したレシピのワンポイントや、すぐに活かせる栄養素摂取のコツを紹介します。

朝食は卵や牛乳で手軽にたんぱく質を補給

「朝食にたんぱく質をとると、体内時計をリセットしたり、身体中の細胞を目覚めさせ代謝を活発にしてくれます」と話す長嶺さん。この他にも、たんぱく質をとることで、骨粗鬆症の予防や、血圧の急上昇を防いでくれることも知られているそうです。

 誌面で紹介した「巣ごもり卵のモーニングプレート」では、卵やヨーグルトが使われており、全体の栄養バランスが整っている上、たんぱく質もたっぷり。たんぱく質は、主に牛乳や卵、お肉や豆腐などに含まれますが、忙しい朝は、牛乳、卵、納豆などをいつもメニューにプラスすることで、手軽にたんぱく質を補給することができます。

「巣ごもり卵のモーニングプレート」レシピはこちら♩

冷凍食材も上手に利用♩

忙しさなどで食事バランスが偏ってしまうとビタミンも不足してしまいがち。「『焼き鮭と枝豆ごはんのカフェ風プレート』には、カルシウムの吸収を良くするビタミンCやビタミンK、骨の育成に関わるビタミンDが多く含まれています。また血液を作るのに必要なビタミンB2、B6、B12、葉酸は、1日に必要な摂取量の半分以上を補うことができますよ」と長嶺さん。葉酸は枝豆やブロッコリーに多く含まれ、認知症や脳梗塞の発症を予防する効果もあるのだそう。「冷凍野菜は忙しい時の心強い味方。冷凍ブロッコリーは、栄養価が高くなる旬の時期に収穫・加工されているので栄養素もしっかり含まれています。冷凍のフルーツミックスもおすすめです」。

 その他にも、焼鮭には、筋肉の合成に関わるアミノ酸(BCAA)が多く含まれているので、特にスポーツをする人や、育ち盛りの子どもにもおすすめです。

「焼き鮭と枝豆ごはんのカフェ風プレート」レシピはこちら♩

微量でも、身体に不可欠なミネラル

ミネラルは、赤血球や骨などをつくるのに必要な他、身体の働きの維持や調節をする重要な役割を担っています。「タラと桜エビの包み焼きプレート」では、カルシウムが1日の必要量の1/3、骨や歯の形成に関わるマグネシウムが必要量の約半分、赤血球の材料となる鉄分もたっぷりとることができるそう。「特に、包み焼きに使用したひじきや桜えびはこれらのミネラルが多く含まれるので、味噌汁に入れたり、おにぎりの具材にするなどしてミネラルを補給するのもおすすめです。また、ひじき、桜えび、ゴマやほうれん草に含まれる鉄分は、魚や肉、卵などの動物性たんぱく質と一緒にとることで吸収率がアップします。タラだけでなく、鮭やブリ、鶏肉などを包み焼きにしても簡単でバリエーションも豊富に。ぜひアレンジしてみてくださいね」。

「タラと桜エビの包み焼きプレート」レシピはこちら♩


コロナ禍も要注意!食中毒対策

ステイホームにより、テイクアウトやデリバリーを利用したり、テラスなどでバーベキューをする機会が増えた人もいるかもしれません。食事のさまざまな楽しみ方がある一方で、注意したいのが食中毒です。

そもそも食中毒ってどうやっておこる?

食中毒を起こす元となる細菌やウイルス、有毒な物質が付着した食べ物を食べることによって、腹痛や下痢、発熱などの症状を起こすのが「食中毒」。

発症までの期間や症状は、原因菌によってさまざまです。
例えば、人の皮膚や鼻元などにいる「黄色ブドウ球菌」が原因の場合。この菌が付着・増殖したおにぎりやお弁当を食べることで30分〜数時間後に腹痛や吐き気などの食中毒症状をおこします。この菌の毒素は、加熱しても死なないので、作る過程で手袋の着用や、殺菌消毒などの対策が必要です。また、「カンピロバクター」という菌の場合は、食後2〜7日と発症までの期間が長く、下痢や発熱、吐き気、筋肉痛などの症状が出るそう。主に、十分に加熱されていない肉(特にとり肉)や、飲料水、生野菜などが原因で起こるため、食べる前にしっかり加熱することや食器具の消毒が大切になります。

家庭での食中毒予防は、食品を購入してから食べるまでの間に、食品に細菌を「つけない」、食品に付着した細菌を「ふやさない」、食品に付着した細菌を「やっつける」という3つが基本。

■「つけない」・・・手首や指先、爪の間までしっかり手洗いする
■「増やさない」・・・購入してから長時間持ち歩かない、すぐに冷蔵庫へ
■「やっつける」・・・食べる前に中心部までしっかり加熱する

テイクアウト、デリバリーはどう気をつける?

食中毒の予防には「時間」と「温度」の管理が重要。テイクアウトなどは、調理してから食べるまでの時間が店頭で食べる時と比べて長くなってしまいます。食品を購入したらすぐに帰宅し、なるべく時間をあけずに食べることが大事です。再加熱の際は、中心までしっかり加熱しましょう。

また、意外にも1年間のうちで最も食中毒が発生しているのは秋。夏バテで体力が落ちていることや、涼しい日もあればまだまだ夏日のように暑い日も多く、日中の気温差も大きくなることなどが原因のひとつになっているよう。食中毒は年中起こりえるものと心得ましょう。

バーベキュー、どんなことに注意したらよい?

スーパーで購入した新鮮な食品(特に肉や魚介類)にも食中毒菌がついていることがあります。他の食品と一緒にせず、それぞれを袋に入れること。また、パックしていても汁が漏れて菌が増殖してしまうことがあるので、包装を二重にしたり、野菜類とは別のボックスで保存するのも一つの手。屋外などの温かいところでは、時間が経つほど菌が増えてしまうので、必ずクーラーボックスなどで保冷しておくことが大事です。野菜などは調理の前にしっかりと洗いましょう。
包丁やまな板は、肉用、野菜用で分けることはもちろん、食べる時は清潔な箸、皿を使うこと。生の食品に触れた後は手洗いと消毒を。残って時間が経った食品はもったいなくても処分する勇気が必要です。

食中毒は、場合によっては重症化することもあります。
おいしく味わい、楽しく過ごすためにも、しっかり予防・対策しましょう!

参考文献


厚生労働省HP「テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防」

消費者庁HP「テイクアウト等を利用するときのポイント~食中毒を防ぐために~」

農林水産省HP「食中毒の原因と種類」

農林水産省HP「バーベキューを楽しむ皆様へ」

公式マスコット「わお」って?